商品ジャーナリスト・北村 森《きたむらもり》の仕事=2011年07月

2011年07月31日


表面工学の権威である大学教授から、1冊の書籍の編集を直接に依頼される。
彼の最終講義に間に合うように、彼がこれまで著したエッセイをまとめたい、という。
打ち合わせをするなかで「セレンディピティ」という言葉が出てきた。
偶然の発見をする幸運を引き寄せる力。気鋭の研究者や商品開発者からよく聞く言葉だ。
数十年走り続けた工学博士の、日々の息遣いが感じられる1冊にできれば、と考えている。



2011年07月26日


上海に4日ほど滞在して帰国。現地では、昨年リニューアルを遂げた和平飯店に宿泊。
館内のちいさなギャラリーには、ホテルの歴史を彩ったさまざまな史料を展示してあり、
そこにはホテルスタッフが常駐して、私の質問にもよどみなく答えてくれる。
運営の主体が変わっても歴史を大事にする姿勢は、ホテルのそこかしこから伝わってきた。
さて、日本の老舗旅館はどうか。経営母体が変わったら、息づいている物もそれまでか……。



2011年07月19日


市場が固まっているようにも感じられるカッターナイフの世界が、ひそかに進化。
昨秋発売されたOLFAの「キリヌーク」は、新聞や雑誌の記事をそのまま1枚切り。
実際に使ってみると、下のページを傷つけずに、狙った記事だけを見事に切り抜きできた。
先月発売されたコクヨS&Tの「フレーヌ」は、いわゆるユニバーサルデザイン。
右利きでも左利きでも使いよい。しかも刃折りが怖くない設計。どちらも地味だが光る商品。



2011年07月17日


富山の養殖トラフグの持ち味を、いかに広く知ってもらうか――。
昨夜は、腕利きの料理人の手を借りて、さまざまに調理しては試食、を繰り返す。
県庁を通して依頼を受け、商品アドバイザー役を務めることとなり、はや数カ月。
昨夜の試食と議論から光が見えてきた。養殖を手掛ける漁協への報告書作成を急ぐ。
こうしたケースでは、地域社会の変化にも商品開発へのヒントが隠されている気がする。



2011年07月16日


私がコメンテーターとして出演したKNBラジオ(富山)の番組が、
日本民間放送連盟賞 ラジオ 中部・北陸地区審査会で1位に選ばれた、という知らせが入る。
都内で開催されたこの審査会では、3人の審査員のうち2人から見事満点を得た、と聞く。
「海の資源が豊かな富山で、あえてトラフグの養殖事業に懸ける男たち」が番組のテーマ。
味は? 安全性は? どんな思いで養殖を? それらを丁寧に報じたからこその受賞だろう。



2011年07月14日


長野県須坂市の商工会議所にてセミナー講師を務める。
参加してくださった50人の半数は企業経営層、そして半数は地元商業高校の生徒たち。
マーケティングを授業で学んでいるのだそうで、熱心な表情を私に向けてくれた。
セミナー後も、食品会社の社長、そして商業高校の先生と話し込む。おふたりとも熱き方。
話を終え、「産官学連携」は、大学のみならず高校でもキーワードなのだ、と強く実感。



2011年07月12日


都内のホテルにて、MM総研大賞の表彰式と懇親パーティ。
審査委員のひとりとして、表彰式では、話題賞に輝いた企業に表彰盾を授与する役目を。
企業名や商品名を正しく読みあげねばと、毎年、少しばかり緊張する時間。
(私が授与を担当した企業、ひとつは「日本(ニッポン)…」、ひとつは「日本(ニホン)…」)。
審査会での満場一致のもと、今年の大賞に決定したのは、パナソニックのエコナビだった。



2011年07月11日


梅雨明けの濃い青空の下、昨日は山梨・小淵沢のリゾナーレヘ。親子旅の企画に同行。
ワーク・ライフバランスの小室淑恵さんを囲みつつ、仕事と家族を顧みるという趣旨の旅。
リゾナーレへの到着後、親が参加して催された小室さんのセミナーは、実践的なもの。
仕事の効率を上げながら、いかに家族との時間をとるか。どこかに考え違いはないか――。
参加した何組もの父が、母が、思うところを話し、小室さんがコメント。刺激のある時間。



2011年07月10日


先週、力を入れて臨んだ仕事のひとつに、サイバー大学の期末リポート採点があった。
私の講義を受けている学生の多くが社会人。今期は70人がリポートを提出してくれた。
ある条件のもとで企画書をまとめよ、という出題なのだが、力作が続々。
70人分を読み、採点をし終えて、改めて思う。企画書に必要なものは何か――。
「なぜ?」の問いにこれでもかと答える説得力、そして最初のシートの1行目、と私は思う。



2011年07月09日


この週末に自宅に届いたのは、3つの商品。これから自分の目で中身を確かめるところ。
まず、今月下旬に全国発売される予定の「三ツ矢 塩サイダー」と「カップヌードルごはん」。
もう1つは、先月登場したばかりのPNDの新機種、ソニー「NV-U37」。ただいま初充電中。
この前モデルを発売直後に使ったが、自転車に括りつけたときの楽しさは予想を超えていた。
安価なPNDを、何かを諦めて買う商品から胸躍らせて買う商品に変えた名機。U37にも期待。



2011年07月08日


マーケティング調査会社からの声掛けを受けて、大手流通企業の企画担当者を前に話す。
話のテーマをざっくり表現すると、消費トレンドの読みと、同業他社との差別化について。
内容をここで詳述することは控えるが、私が話の主軸に据えたのは、
「商品開発に付随する物語」の重要性が、ここ数年でどのように変化しているか、だった。
会議の後、夜は「日経おとなのOFF」創刊メンバーの同窓会。創刊時の興奮をたどる会食。



2011年07月07日


1冊のノンフィクション執筆に取り組んでいる。
一昨日、昨日と、その大幅改稿をすべく、徹夜を続けた。
こうした原稿を仕上げてゆくうえで、本当にありがたいのが担当者の存在。
そうか! と膝をうつようなポイントを、ずばりと提示してくれる。
私自身が雑誌編集者だったころ、執筆者にここまでできていたか。反省してしまう。



2011年07月06日


TBSラジオ「スタンバイ!」で私の前のコーナーに登場されている森田正光さんが、
放送のなかで、私の秘密を披露。「北村さん、ゴルフで130切れない」という発言に苦笑。
続いての私のコーナーで取り上げたのは、ダンボール製の「エコソーラークッカー」。
ソーラークッカーとして破格の999円という値段ながら、親子で楽しめる。アウトドアに格好。
開発したのは埼玉県のちいさな企業、アースダンボール。こういう製品、痛快に感じる。



2011年07月05日


昨夜は、会員制サロン「プラットフォーム南青山」にて催された、
企業経営漫談士協会のイベントに参加。
生まれて初めて、漫才に挑戦した。台本をまとめ、暗記し、間合いを頭にたたきこむ。
テーマは「数字と消費トレンド」。漫才だけに、リズムと笑いこそが勝負どころ。
相方を務めるコンサルタント桐野将明氏に助けられ、20分の登壇を好評のうちに終了。